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名前 (12:犬過去ネタバレ)
12:犬鳥...2005.08.27 Sat
「・・・・何をそんなに不機嫌になっている?」


耳に届いた低い声。
けれど、振り向かずに歩く。
今は一人にして欲しかった。
そうでないと、抑えられないと思ったから。
なのに、後ろを歩く人は腕を掴んでくる。
どうして放っておいてくれないのか。

――って、まぁ。僕でも同じことしそうだけど、さ・・・。

「聞こえている癖に無視をするな・・・ヒビキ」

呼ばれた名前に胸が苦しくなる。
いつだって、何か不思議な力でも宿っているんじゃないかって位、この人の自分の名を呼ぶ声には心が揺さぶられる。
でも、今は、違う。
常の甘い苦しさじゃなくて、ただただ、今は、苦くて苦しい。
泣いてしまいそうな程・・・。

「おい、ヒビ――・・・」

「何度も呼ばなくても聞こえてますよ」

これ以上聞きたくなくて、遮るように言えば「ならば最初から返事をしろ」と不機嫌に返される。
返事をしたく無いから、無視してたのに。
どうして、いつもは聡いくせにこういう時だけ察してくれないのだろう。
挙句に、見当違いの事を言ってくるし。

「・・・ヒビキ。俺が奴の子だと言う事が気に入らないのなら、俺は・・・」

「っ何でそうなるんですかっ!」

本当に鈍い。
少し考えれば、分かりそうなものじゃないか。
現に、ジュリーどころかティエンにも気付かれてるっていうのに。

――鈍感。
戦闘馬鹿。
斬る事ばっかり考えてるから、こういう時に気が回らないんだ。
何でそんなに戦うのが好きなんだよ、お坊ちゃんの癖に・・・。

「あなたが彼の息子だとか、そんなことはどうだって良いですっ!僕が気に入らないのは――・・・・」

言いかけて、慌てて口を噤む。
子供っぽい理由。
だから、言いたくなかったから、放っておいてほしかったのに。
敵とする相手の息子だとか、そんな事はどうでも良くて・・・・いや、良くは無いのかもしれないけど、それでも、僕にとってそれは大きな問題では無くて。
身分が違うとか、それも、とりあえず横に置いておいて。
何より引っ掛かったのは。
気に入らないのは。

「気に入らないのは、何だ?」

「・・・・・・・」

「・・・ひー?」

二人の時にしか呼ばない呼び方。
しかも、そんな優しい声で呼ぶなんて。

「―――卑怯だ・・」

逆らえない事を知っている癖に。
本当は、理由も何もかも、全部知っているんじゃないかと思えてくる。
知っていて、それでもわざと、僕の口から言わせようとしているんじゃないかって・・・。

「気に入らない事なんて・・・・何もないよ・・」

「だが・・・」

「気に入らないんじゃ無くて・・・僕はただ、寂しかっただけだ・・」

俯いて、唇を噛む。
そう、気に入らないんじゃない。
ただ、寂しかっただけ。切なかっただけ。

あなたの本当の名前を知らなかった事が。
教えて、もらえなかった事が・・・・。

「理由は伏せてたって構わない・・・でも、本当の名前位・・・・教えて欲しかった・・・ただ、それだけだったんです・・・」

ずっと、偽りの名をそうと知らずに呼んでいた自分が、その名を特別に思っていた自分が、滑稽で、辛くて。
他の人ならこうは思わなかった。
でも、あなたは、他の人とは違って・・。

「特別だと・・・そう、思ってたのに・・・・・・・それは、僕だけだったのかな・・・」

笑おうとして、耐え切れずに涙が零れた。
情け無い。
きっと呆れられるだろうと思うと、余計に目頭が熱くなる。
こんな顔も、こんな自分も、見られたくは無かったのに。

「・・・・・すみません、変な事言いました。忘れて下さい・・・」

片手で目を覆って、口だけで笑顔を作る。
そのまま背を向けて立ち去ろうとして、けれど、強い腕に拘束されてしまう。
抱き締めてくる腕が誰のものなのかなんて、考えるまでも無くて。

「・・・黙っていた事は謝る。済まない・・・・だが、あの名はとうに捨てたもの。俺にとっては、今の名が本当の名だ」

「・・・・・・」

「だが、名前など個体を区分する為の表示記号でしかないと俺は思っている。・・・否、お前に出会うまではそう思っていた。
――お前に呼ばれて初めて、俺の名前は意味を持った。お前以外が呼ぶ俺の名などに意味は無いんだ。
だからヒビキ、お前が呼びたいように呼べ。その名が、俺の真名だ」

「・・・・・ムメイ、さん・・・」








クッサ!!ムッ様くっさっ!!!!!(てめぇが言わせたんだろ)
途中だけど続かないので此処で切り!
無性に、クサイムッ様と拗ねてるひーちゃんが書きたくなったんです。それだけです。
中途半端でスンマソ・・・
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右手
幻:坊主...2005.08.11 Thu
右手が疼く。
大切な物を差し出せと。
魂を喰らって、その存在を自分の物にしてしまえと。

「…分って‥いるさ‥」

自分が大切な物を作るべきではない事位。
分っている。
それでも‥。

「…もう少しだけ…そう、願ってしまうんだよ…」

人という生き物は。
何処までも愚かしくて、だからこそ、愛すべき物なのだろう。
一人では、居られない。
どれ程戒めても、心が、求めてしまう。
そんな人に、出会ってしまったら、もう。

「それでもね…俺はお前にあの子をくれてやるつもりは無い」

誰が、喰わせるものか。
あれ程に、愛しい子を。
何故、自分以外のモノにくれてやらなければいけない?
誰にも渡すつもりは無いんだ。
そう、あの子が大切に思っている者にさえも。

「変わりに、別の人間を喰わせてやるよ。だからそれまで、大人しくしておいで…」

薄く笑う。
こんな自分を、あの子はきっと気付いている。
それでも、全て包み込むように微笑んでくれる、そんなあの子を誰より愛しく思う。
あの子以外、大切なものなんて無いんだ。

「例え幼馴染といえど…カナギは渡さないよ…?」

君には、特別な死をあげるよ。
あぁ…楽しみだ。


暗い愉悦に共鳴する様に、疼きが増した右手に口付けた――・・







Q:幻水では暗いネタしか書いてないんじゃ無いですか。
A:【書いてない】んじゃなくて【書けない】んですよ。
一遍逝って来いっていうお話ですね。はい。
メモ帳の整理してきたら出て来たので、少しだけ手を加えてUP。
多分ダーク御題の一番目じゃないかと推測(推測?)
ソウとスイレンではなく、トウガとカナギのお話です。
恥晒し大会でもやるつもりなんでしょうかね、自分。
楽園に降る雨
幻:赤毛...2005.08.11 Thu
真綿に包まれるように、柔らかな場所で守られていた。


幼い頃の記憶は、引き攣るように痛む。
心の中に、消えずにずっと。
痛いと、認めるのも癪で。
瞼の裏にチラつく赤を、振り払えないのはきっと自分の弱さ。
馬鹿みたいだと、笑う。
馬鹿みたいだ。
アイツは、自分を思い出しもしないのだろうに。
こんな痛みは、きっと自分しか感じていない。
本当に、馬鹿みたいで。
無意識に掴んだ胸は、まだ、痛い。



「…雨…か」

嫌な天気だと苦く呟く。
ただでさえ欝なのに、余計に気分が落ち込んでいく。
降り注ぐ雨は、戦場を洗い流し、清めていくけれど。
視界が悪くなれば、それだけ状況が掴みづらくなる。
足場が悪くなれば、それだけ隙が出来てしまう。
それはあちらとて同じ。
地の利と、智の利が物を言う。
地の利は五分。
けれど、智の利はきっとあちらの方が上。
どうしても埋められない差を、嫌という程思い知っている。
縮まらない差に苛立つ自分に更に苛立ちが募る。
また痛みがぶり返す。
思考が纏まらない。
舌打ちをして、灰色の空を睨んだ。

「ホント…やな天気…」

雨は、アイツが出て行った日を思い出す。
灰色の空は別れの兆し。
降り注ぐ雨は、決別の象徴。
瞼にチラつく赤はまだ消えない。
こんな日に限って、向こうにはアイツが居る。
雨が、降っているのに。
こんなに視界が悪くちゃ、その姿を確認することだって出来やしない。
無事か…どうかなんて。

「馬鹿か俺は…」

敵の心配をしてどうするんだ。
自分の立場を忘れるな。
いざとなれば、その命を奪う命だって出さなきゃいけないんだ。
痛みなんて、気付かない振りで。
そんな事…。

「……出来るわけ…」

呟いた声は、雨に吸い取られていく。
誰にも届かない。
届いては、いけない。
きつく目を閉じる。
一度だけ、その名を口の中で呟いて。
次に目を開ける時は、前だけを見つめて。
今の自分は、この軍を勝利に導く事だけを。

「―――全軍、進撃開始…!」

あぁ、それでも。
これから流れる沢山の命の色の中に、お前の赤が無ければ良いと願う…。




雨の日は、別れの日。
唐突に楽園が失われたあの日も、今日の様に冷たい雨が降っていた。




「シー、ザー…?」

あぁ、なんて間抜けな顔してんだか。
いつもの無表情はどうしたんだよ。
アンタらしくない。
笑っちまうじゃないか。

「…ばー‥か…」

ホント、馬鹿。
救いようが無いよ、アンタ。
何、諦めてんだよ。
何で、避けようとしなかったんだよ。
あんまりにも馬鹿みたいにボーっと突っ立ってるから、思わず前に飛び出しちまったじゃねーか。
何なんだよその間抜け面は。
俺が、こんな事するなんて思ってなかった?
残念だったな。
まだ、終わらせてやらないよ。
楽に終われるなんて、思わないでよ。

「何故…」

「…なぁ……いたい…?」

何故なんて、当たり前の事を聞くから。
笑ってしまう。
実際に、笑えたかどうかは知らないけど。
なぁ、痛いか?
アンタの胸は、痛みを感じてる?
あの日から、俺の胸を苛んでる痛みをくれたお前は、今、痛みを感じたんだろうか。
俺だけ痛いなんて、不公平だろ?
あの日から、ずっと痛かったんだ。
ずっとアンタを想ってた。
馬鹿みたいに、あんたが壊した日々を、心の奥に抱いて。
知らなかっただろう?
これから先も、知らないだろう…。
だって、俺は言わずに行くから。
アンタが何も言わずに出て行ったように。
俺も、何も言わないよ。
一生、答えの与えられない問題に、少しでも悩んでくれれば良い。
小さな、棘になれば良い。

「‥ずっと……」

痛めば、良いのに‥。



雨の日は、別れの日。
あの日楽園に降っていた雨は、
今、花散る戦場に降り注ぐ。
胸は、もう痛まない――…。






昔の日記に書いてたのを引っ張り出し・・・。
自分で自分を辱めてどうするよ・・・orz
死にネタですんませ・・・orz
受けが攻めを庇うのが好きなの!!(開き直った)
I can't say ...
O:親子...2005.08.08 Mon
朝から溜息、浮かない顔。
自分でも嫌になる位、今の僕は鬱陶しい。
分っているけど、だからと言ってどうにかなるものではなくて。

「はぁ・・・」

本日これで何回目?
一桁を越えた時点で数えるのは止めてしまった。
たった一言呼ぶだけ。ただそれだけの事。
けれどそれが出来なくて、結局何度も溜息駄目息。
心は減量、幸せも減量。

「もぉ、嫌になるなぁ・・・・」

笑えない、それも大問題。
引き攣った顔で挨拶されて、誤解しない人なんてきっといない。
それに加えて目付きの悪さ。
母親に似たらしいツリ目は人に余り良い印象を与えないらしくて。
知らない人に絡まれたり、目が合った途端に逸らされたりするのは日常茶飯事。
何でだろうと相談した妹には、『お兄ちゃん、例えお兄ちゃんが無自覚の天然さんでも私がしっかり護ってあげるから大丈夫だよ!!気にしないでそのままのお兄ちゃんで居てね!!』と、なんだか良く分からない励ましの言葉を貰ってしまった。
何が無自覚なのか鏡を見て考えて、漸く出た結論がこのツリ目。

――睨んでるみたいに見えるもんね・・・

分ったところで、気持ちと同様どうにかできるものじゃないし。

「はぁ~~・・・」

世の中って、上手く行かない。

盛大に吐いた溜息と一緒に、机に突っ伏して。
ほんの少し泣きたい気分になった。

「そんなに溜息ばっかり吐いてると、幸せが逃げてしまうよ?」

「へっ?!」

突然耳元で聞こえた声に、慌てて顔を上げ―――――・・・ようとして、真横に自分と良く似た、けれど自分よりも優しそうな顔を見つけて、中途半端な姿勢で固まってしまう。

――何で・・・いつの間に!?

気配なんて、全然感じなかったのに。
パニックに陥っている自分を落ち着かせる為か、軽く頭を撫でて来る手に更に混乱して、くらくらして、面映くて、切なくて、嬉しくて、色んな感情がごっちゃになって。
兎に角、何だか思考回路がオーバーヒートしそうだって事だけが、今の僕に分る事だった。

「朝からずっとだね。何か悩み事でも?」

首を傾げて問われる。
問われてまた固まって。

――いつから聞いていたんだろうだって気配は全然無かったよねそれとも僕ってもしかして鈍い?そんなでもエテリア達だって何も伝えてこなかったしああでももしかして僕が鬱陶しいからエテリア達が怯えてるって言うか鬱陶しい僕に近寄りたくないと思われてるのかもどうしようどうしたらっていえばいつまで僕は頭を撫でられてるんだろう親子ってこういう物なのかな何だか恥かしいよでも慣れてないだけで嫌じゃないっていうか父さんってこんな感じなんだ大きい手って良いなぁ大きい手って言えば僕の知ってるカテナの人たち(女性陣除く)って皆手が大きいや良いなぁ大人って感じでそれになんかホッとするって言うか―――「フィール、聴いてるかい?」

遮られた思考にハッとして、視線を合わせれば優しい銀色。
自分と同じ、色。
あぁ、本当に親子なんだなぁと、実感して。
そういえば溜息の原因を聞かれてたんだっけと思い出す。

――まさか、貴方が原因ですなんて、言えないしなぁ・・・

それでは更に誤解を招いてしまう。
さてどうしたものかと悩む僕に、僕が話すのを見守る感じで待っている目の前の人。
あぁなんかこういう目で見られるのって良いなぁなんて、思っている場合ではなくて。

「えっと・・・・あの、その・・・」

「うん?」

優しく促されても、続きの言葉なんて考えて無いから出る訳がない。
本当にどうしよう。

「あー・・・その・・・・・・・」

何て言う?
何て言おう。

「えっと・・・・僕って、その・・・鈍い・・の、かな?」

散々悩んで結局出たのはそんな言葉。
意味が分からないよね、これって。

「あぁ、そうだね。確かに君は鈍いけれど、それは美点でもあるから別にそこまで悩む事ではないんじゃないかな?」

・・・しかも肯定されてしまった。
そうか、僕って鈍かったんだ・・・。
何となくショックを受けていると、頭をポンポンと軽く叩かれる。

「父さんは、そんなフィールが好きだし、そのままの君で良いと思うよ」

優し気な笑顔でそういわれて、「有難う・・・」と戸惑いながら返せば更に彼の笑みが深まった。
本当の悩みはこの事では無かったんだけど、まぁ良いかと思わせるような笑顔。

そのままで良いと言ってくれたのなら、そんなに悪い誤解はされていないのかもしれない。

――それって、焦らなくても良いって事だよね?

ホッとして、自然と笑顔が零れた。





「有難う、カインさん」




なるべく早く、「父さん」って呼べるようになれたら良いな。






・END・




さり気無く告白するカイン様と、全く全然これっぽっちも気づいていない処か見事に「好き」の部分をスルーしているフィール君でした。
この後カイン様は撃沈。
因みにフィールがカインを『父さん』って呼べない理由は、単に照れてるからです。
顔が引き攣るのも父親という存在に憧れていた&慣れてない故に何だか恥かしくて上手く表情が作れないからです。
補足しないと分からないって、どうよそれ。
カイフィを書こうと思ったのに・・・これってカイフィって言うか、カイン⇒フィールですよね。
道程は遠いな・・・。
頑張れカイン様!!(死んで来い)
君は知らない(LF前提C⇒F
O:親子...2005.08.05 Fri
――悪趣味だと思うかい?


らしくない笑みを口元に穿きながら、己を嘲るように語る友人に。
そこまで自覚していて尚、止められないのなら。
それは、仕方が無い事ではないだろうかと返した。

そう、心の底から渇望するならば。
それを押し込めるのは容易い事ではないだろう。
モラルなど、きっと何の壁にもなりはしない・・・。



・君は知らない・



人里離れた場所にひっそりと建てられた屋敷の前。
せがまれ少女を肩に乗せて走り回る青年と、その光景に無邪気に笑う少年を2階の窓から見下しながら、一人苦く笑う。
自分よりも華奢な体に、自分に良く似た容貌。
少年の銀の髪がきらりと陽光を弾いて、眩しさからだけではなく、目を眇める。

「・・・息子・・か」

唇の動きだけで呟いた言葉は、重く心に溜まる。
そう、正真正銘、この身の血を分けた息子。
そして、誰の目から見てもそれは明らか。

「茨の道、だな・・」

嗤う。
きっと自分はどうかしているのだろうと。
けれど、それがどうしたと思う。
知って留められる程度の気持ちなら、とうの昔に消している。
止められないから、こうして日増しに想いは募るのだ。
いや、想いなんて、可愛いものではない。

「これは、紛れも無い欲望だ」

実の息子を、組み敷いて自分だけのモノにしたいだなどと。
毎夜夢に見る。
自分に良く似た、けれど似ても似つかない無垢で綺麗なイキモノを思う様好きにする夢。
勿論最初は戸惑った。
けれど、今はもうそれが普通だ。

己の中の良心は、何処も痛みはしない。

「・・・・悪趣味だと思うかい?」

実の息子・・しかも良く似た顔の者に、欲情するなどと。
問い掛けに相手は侮蔑の視線を送るでもなく、ただ淡々と言葉を綴る。
決して否定ではない、言葉を。

「君も大概、変わり者だね」

普通は此処で、正気かとかなんとか、問い質すものなんじゃないのかい?
おどけて言えば、そうでなければお前の友などやってはいられないと何を考えているか分からない無表情で返される。
尤もだと、軽く笑った。

「だが・・・告げるつもりは無いのだろう?」

「・・・・・・まぁ、ね」

視線を窓の外に戻して、未だ楽しげに戯れている子供たちに口元を歪める。
愛しい銀色の横には、寄り添うような黄金。
胸の内に押し寄せるドス黒い感情は、けれど愛し子の心からの笑顔に霧散する。
いつも、いつまでも・・。
その笑顔で居て欲しいと、願う。
それは、紛れも無い本心。

「困らせるのは・・・本意では無いからね・・」

あの子はもう、選んでしまったから。
出遅れたのかもしれないし、スタートが何時だろうと、変らなかったかもしれない。
どちらにせよ、今、彼の隣を赦されたのは自分では無いと言う事だけが確か。

「奪おうとは思わないのか?」

「思わないよ」

あの笑顔を上げられるのは、自分では無いから。
本当は、隣に居る男を八つ裂きにしてやりたい位だけれど。
それをすれば、きっとあの子は壊れてしまうから。

「何もかも奪い尽してしまいたい位愛しているけれど、父親として幸せになって欲しいと願う気持ちも、確かに有るんだよ」

視線の先には、見た事も無い優しい目で少年を見下す青年の姿。
あの青年が、誰かをあんな風に大切に想う日が来るなどと想像もしていなかった。
そしてその対象が、自分の息子になる事も。

「損な役回りだな」

「全くだよ。―――でもまぁ・・」

父親という、永遠に唯一無二のポジションに居られるのなら、ちょっと位の殺意には目を瞑るさ。

カラカラと笑って告げれば、何故か重い溜息を吐かれてしまった。

「あの男も不憫な・・・」

こんな悪魔を敵に回すとは。
同情を込めて――尤も、顔は無表情なのだが――呟かれた言葉にまた笑う。

「その位、当然の報いだろう?」

何せ、自分がこの世で一番大切にしているものを手に入れたのだから。
少し位の意地悪には耐えてもらわないとね?

「少し、か・・・?」

「少しだよ」

この想いの深さからすれば、爪の先程の可愛いものさ。

「・・・まぁ、愚痴位ならいつでも付き合おう」

「それはどうも」

持つべきものは親友だよね。
笑った自分に、友人は少しだけ痛ましそうに眉を寄せて、また何事も無かったかのような無表情に戻った。

「・・・・・・・・本当に、一生言わないつもり、か?」

「クドイな、言わないよ」

「そうか・・・」

「そうさ」

一生、君にだけは告げない。
君は知らなくて良い。
君を困らすだけの、暗い欲望など。



視界の端で、きらきらと銀の光が目を焼く。


眩しさにそっとカーテンを引いて、唇だけで届かない告白を―――・・・。



・END・




ナンダコレハ・・・。
名前を出してませんが、遊んでるのはドロシーとレオンとフィール。
二階に居るのはカイン様とヴィティスさんで御座います。
レオフィ前提のカイン⇒フィール・・・で、宜しく御願いします。(何)
certainly(FA:大豆
鋼:大豆...2005.08.02 Tue
映画のネタバレ・・・になるかと。 ▽Show More
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