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君は知らない(LF前提C⇒F
O:親子...2005.08.05 Fri
――悪趣味だと思うかい?


らしくない笑みを口元に穿きながら、己を嘲るように語る友人に。
そこまで自覚していて尚、止められないのなら。
それは、仕方が無い事ではないだろうかと返した。

そう、心の底から渇望するならば。
それを押し込めるのは容易い事ではないだろう。
モラルなど、きっと何の壁にもなりはしない・・・。



・君は知らない・



人里離れた場所にひっそりと建てられた屋敷の前。
せがまれ少女を肩に乗せて走り回る青年と、その光景に無邪気に笑う少年を2階の窓から見下しながら、一人苦く笑う。
自分よりも華奢な体に、自分に良く似た容貌。
少年の銀の髪がきらりと陽光を弾いて、眩しさからだけではなく、目を眇める。

「・・・息子・・か」

唇の動きだけで呟いた言葉は、重く心に溜まる。
そう、正真正銘、この身の血を分けた息子。
そして、誰の目から見てもそれは明らか。

「茨の道、だな・・」

嗤う。
きっと自分はどうかしているのだろうと。
けれど、それがどうしたと思う。
知って留められる程度の気持ちなら、とうの昔に消している。
止められないから、こうして日増しに想いは募るのだ。
いや、想いなんて、可愛いものではない。

「これは、紛れも無い欲望だ」

実の息子を、組み敷いて自分だけのモノにしたいだなどと。
毎夜夢に見る。
自分に良く似た、けれど似ても似つかない無垢で綺麗なイキモノを思う様好きにする夢。
勿論最初は戸惑った。
けれど、今はもうそれが普通だ。

己の中の良心は、何処も痛みはしない。

「・・・・悪趣味だと思うかい?」

実の息子・・しかも良く似た顔の者に、欲情するなどと。
問い掛けに相手は侮蔑の視線を送るでもなく、ただ淡々と言葉を綴る。
決して否定ではない、言葉を。

「君も大概、変わり者だね」

普通は此処で、正気かとかなんとか、問い質すものなんじゃないのかい?
おどけて言えば、そうでなければお前の友などやってはいられないと何を考えているか分からない無表情で返される。
尤もだと、軽く笑った。

「だが・・・告げるつもりは無いのだろう?」

「・・・・・・まぁ、ね」

視線を窓の外に戻して、未だ楽しげに戯れている子供たちに口元を歪める。
愛しい銀色の横には、寄り添うような黄金。
胸の内に押し寄せるドス黒い感情は、けれど愛し子の心からの笑顔に霧散する。
いつも、いつまでも・・。
その笑顔で居て欲しいと、願う。
それは、紛れも無い本心。

「困らせるのは・・・本意では無いからね・・」

あの子はもう、選んでしまったから。
出遅れたのかもしれないし、スタートが何時だろうと、変らなかったかもしれない。
どちらにせよ、今、彼の隣を赦されたのは自分では無いと言う事だけが確か。

「奪おうとは思わないのか?」

「思わないよ」

あの笑顔を上げられるのは、自分では無いから。
本当は、隣に居る男を八つ裂きにしてやりたい位だけれど。
それをすれば、きっとあの子は壊れてしまうから。

「何もかも奪い尽してしまいたい位愛しているけれど、父親として幸せになって欲しいと願う気持ちも、確かに有るんだよ」

視線の先には、見た事も無い優しい目で少年を見下す青年の姿。
あの青年が、誰かをあんな風に大切に想う日が来るなどと想像もしていなかった。
そしてその対象が、自分の息子になる事も。

「損な役回りだな」

「全くだよ。―――でもまぁ・・」

父親という、永遠に唯一無二のポジションに居られるのなら、ちょっと位の殺意には目を瞑るさ。

カラカラと笑って告げれば、何故か重い溜息を吐かれてしまった。

「あの男も不憫な・・・」

こんな悪魔を敵に回すとは。
同情を込めて――尤も、顔は無表情なのだが――呟かれた言葉にまた笑う。

「その位、当然の報いだろう?」

何せ、自分がこの世で一番大切にしているものを手に入れたのだから。
少し位の意地悪には耐えてもらわないとね?

「少し、か・・・?」

「少しだよ」

この想いの深さからすれば、爪の先程の可愛いものさ。

「・・・まぁ、愚痴位ならいつでも付き合おう」

「それはどうも」

持つべきものは親友だよね。
笑った自分に、友人は少しだけ痛ましそうに眉を寄せて、また何事も無かったかのような無表情に戻った。

「・・・・・・・・本当に、一生言わないつもり、か?」

「クドイな、言わないよ」

「そうか・・・」

「そうさ」

一生、君にだけは告げない。
君は知らなくて良い。
君を困らすだけの、暗い欲望など。



視界の端で、きらきらと銀の光が目を焼く。


眩しさにそっとカーテンを引いて、唇だけで届かない告白を―――・・・。



・END・




ナンダコレハ・・・。
名前を出してませんが、遊んでるのはドロシーとレオンとフィール。
二階に居るのはカイン様とヴィティスさんで御座います。
レオフィ前提のカイン⇒フィール・・・で、宜しく御願いします。(何)
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