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楽園に降る雨
幻:赤毛...2005.08.11 Thu
真綿に包まれるように、柔らかな場所で守られていた。


幼い頃の記憶は、引き攣るように痛む。
心の中に、消えずにずっと。
痛いと、認めるのも癪で。
瞼の裏にチラつく赤を、振り払えないのはきっと自分の弱さ。
馬鹿みたいだと、笑う。
馬鹿みたいだ。
アイツは、自分を思い出しもしないのだろうに。
こんな痛みは、きっと自分しか感じていない。
本当に、馬鹿みたいで。
無意識に掴んだ胸は、まだ、痛い。



「…雨…か」

嫌な天気だと苦く呟く。
ただでさえ欝なのに、余計に気分が落ち込んでいく。
降り注ぐ雨は、戦場を洗い流し、清めていくけれど。
視界が悪くなれば、それだけ状況が掴みづらくなる。
足場が悪くなれば、それだけ隙が出来てしまう。
それはあちらとて同じ。
地の利と、智の利が物を言う。
地の利は五分。
けれど、智の利はきっとあちらの方が上。
どうしても埋められない差を、嫌という程思い知っている。
縮まらない差に苛立つ自分に更に苛立ちが募る。
また痛みがぶり返す。
思考が纏まらない。
舌打ちをして、灰色の空を睨んだ。

「ホント…やな天気…」

雨は、アイツが出て行った日を思い出す。
灰色の空は別れの兆し。
降り注ぐ雨は、決別の象徴。
瞼にチラつく赤はまだ消えない。
こんな日に限って、向こうにはアイツが居る。
雨が、降っているのに。
こんなに視界が悪くちゃ、その姿を確認することだって出来やしない。
無事か…どうかなんて。

「馬鹿か俺は…」

敵の心配をしてどうするんだ。
自分の立場を忘れるな。
いざとなれば、その命を奪う命だって出さなきゃいけないんだ。
痛みなんて、気付かない振りで。
そんな事…。

「……出来るわけ…」

呟いた声は、雨に吸い取られていく。
誰にも届かない。
届いては、いけない。
きつく目を閉じる。
一度だけ、その名を口の中で呟いて。
次に目を開ける時は、前だけを見つめて。
今の自分は、この軍を勝利に導く事だけを。

「―――全軍、進撃開始…!」

あぁ、それでも。
これから流れる沢山の命の色の中に、お前の赤が無ければ良いと願う…。




雨の日は、別れの日。
唐突に楽園が失われたあの日も、今日の様に冷たい雨が降っていた。




「シー、ザー…?」

あぁ、なんて間抜けな顔してんだか。
いつもの無表情はどうしたんだよ。
アンタらしくない。
笑っちまうじゃないか。

「…ばー‥か…」

ホント、馬鹿。
救いようが無いよ、アンタ。
何、諦めてんだよ。
何で、避けようとしなかったんだよ。
あんまりにも馬鹿みたいにボーっと突っ立ってるから、思わず前に飛び出しちまったじゃねーか。
何なんだよその間抜け面は。
俺が、こんな事するなんて思ってなかった?
残念だったな。
まだ、終わらせてやらないよ。
楽に終われるなんて、思わないでよ。

「何故…」

「…なぁ……いたい…?」

何故なんて、当たり前の事を聞くから。
笑ってしまう。
実際に、笑えたかどうかは知らないけど。
なぁ、痛いか?
アンタの胸は、痛みを感じてる?
あの日から、俺の胸を苛んでる痛みをくれたお前は、今、痛みを感じたんだろうか。
俺だけ痛いなんて、不公平だろ?
あの日から、ずっと痛かったんだ。
ずっとアンタを想ってた。
馬鹿みたいに、あんたが壊した日々を、心の奥に抱いて。
知らなかっただろう?
これから先も、知らないだろう…。
だって、俺は言わずに行くから。
アンタが何も言わずに出て行ったように。
俺も、何も言わないよ。
一生、答えの与えられない問題に、少しでも悩んでくれれば良い。
小さな、棘になれば良い。

「‥ずっと……」

痛めば、良いのに‥。



雨の日は、別れの日。
あの日楽園に降っていた雨は、
今、花散る戦場に降り注ぐ。
胸は、もう痛まない――…。






昔の日記に書いてたのを引っ張り出し・・・。
自分で自分を辱めてどうするよ・・・orz
死にネタですんませ・・・orz
受けが攻めを庇うのが好きなの!!(開き直った)
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