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犬と王子3
幻:カ王...2006.03.01 Wed
「王子ー、入りますよー」

失礼しまーすと声をかけてドアを開ける。
返事が無いのは気にしない。
声をかけたのだって、形的なものなのだ。
応えるべき人は、今はまだ夢の中。
眠る王子様を起こすのが、本日最初のお仕事と言う訳だ。

城ではいつもお付の侍女か護衛の少女がその役を担っていたから、自分に回って来る事は無かったのだが。

此処に来て良かった事の一つは、これだ。
目を覚まして一番に、自分の姿を映して貰える。
それが、どんなに幸せか。
不謹慎なのは重々承知だが、けれどあそこに居た頃よりずっと、大事な人が近い。
王子を守ることだけを考えて、誰に憚る事無く王子を守る為に傍に居られる。
女王と王女が至上のあの箱庭の中では出来なかった事。


尤も、こんな形で得たかった訳ではないけれど。



見下ろす先の、眠る人の長い睫を濡らす涙。
人前では泣けない人が、理性の管轄を離れて唯一泣ける時。
夢の中で位、幸せで居て欲しいと思うのに。夢の中でしか泣けないから、悲しい夢を見る。

「…王子」

流れる青銀の髪を人房掬って、静かに口付ける。
誓いを、込めて。

「貴方は、必ず護ります」

この身に代えても。
本来ならば為す事は出来なかった誓い。
騎士の忠誠は、女王に在るべきで。
けれど、今の主は目の前の少年だ。

魂を懸けるなら、この人の為だとずっと心に決めていた。

国の為に命を賭したとしても、魂はたった一人の為に。

「護らせて、下さいね…?」

一人で闘わないで。
一人で苦しまないで。
ほんの少しでも良いから、貴方の背負うものをオレにも預けてください。

起きている貴方には言えないから、もう少しだけ、目を覚まさないで――…。





訳がわからん。
本拠地入手後の話、です。
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